黒姫高原には、世界の童話や絵本、信州の昔話などを展示している『黒姫童話館』があります。
小学生のとき、お友達と夢中で読んだ「はてしない物語」や「モモ」の作者ミヒャエル・エンデや『モモちゃん』シリーズで有名な 松谷みよ子さん展示室があったり、また、信州の民話を集めたお部屋では、お話のビデオを上演していたり、とっても盛りだくさん。


どうしてここにミヒャエル・エンデの展示がとびっくりさせられますが、
『はてしない物語』の翻訳をされた佐藤真理子氏と結婚されたミヒャエル・エンデは、自分のもつほとんどの資料を信濃町に提供したそうです。そして亡き後 1991年に世界で唯一エンデの資料を常設に展示する黒姫童話館が開館したそうです。

ミヒャエル・エンデの子供の頃の写真や家族の写真、画家だったお父さんが描いたミヒャエル・エンデの肖像画、大好きな亀のコレクション、自分で描いていた挿絵の原画などが展示されていました。
作家だけでなく、哲学者だったミヒャエル・エンデ。
彼の本の中には、たくさんの現代社会へのメッセージがたくさん込められています。

「お金というのは、神とは違って、人間が作ったものです。自然界に存在せず、純粋に人間によってつくられたものがこの世にあるとすれば、それはお金です。」
と語るミヒャエル・エンデ。
現代の金融システムに対し、
「このシステムは、消費し、成長し続けないと機能しないもの。成長は無から来るのではなく、どこかがその犠牲になっているのです。世界は、必ずしも滅亡するわけではありません。しかし、人類はこの先、何百年も忘れないような後遺症を受けることになるでしょうでしょう。人々はお金を変えられないと考えていますが、そうではありません。お金は変えられます。人間が作ったのですから」

今の日本がまさに直面している問題。
人間が作ったお金は、増えることも出来るし減らすこともなくすことも出来る。
それが人間や自然を圧迫するような物だとしたら、
そんな物は、本当に必要なのでしようか。
そのシステムが変わらない限り、私たちはその中から抜け出せることは出来ないのでしょうか。
混乱の日々。よくないことだと分かっていても、それを変えるのにはどうしたらよいのか。自分に何が出来るのか考えさせられます。

また、人間にはふたつの「記憶」と「忘れる」という現象があるといいます。

「人間は過去をたずさえている分が大きいだけ、未来をも大きくもっていることになります。意識的に記憶している過去にとどまらず、すっかり忘却の底に沈んでいるであろう過去が、それぞれの人間のなかで、かたちを変えつつ未来に反映してゆく」

すっかり忘れてしまった子供の頃の記憶はまさに無意識に自分を動かしているもの。
ですから、本当に今大切なことは、、小さな子供たちに希望を与え、大切に守ってゆかなければならいこと、そう思いました。

ミヒャエル・エンデは次の世代の子供たち(まさに私たちの世代ですね。)へ
「子孫たちが同じ過ちを冒さないように考えたり、新たな観念を生み出すこと」でこの世界は変わることができることを語っています。
世界的に有名なミヒャエル・エンデの展示が他の国ではなくこの日本にあることは、きっと何か意味があるのでしょう。心にしっかり受け止めてがんばりたいと思います。


黒姫童話館の外には、いわさきちひろさんのアトリエを兼ねた山荘がありました。

いわさきちひろさんの絵も、私が小学校のとき、はじめて心を動かされた世界です。
やさしく心ににじんでくるその作品を眺めているだけで、心がうっとりとするのです。
部屋中に集めたちひろさんのポストカードを張って、いつでも幸せな物語の中へ遊びにいっていました。


「みんな仲間よ」私は自分の心にいいきかせて、なつかしい、やさしい、人の心のふる里をさがします。と語るちひろさん。
「私は私の絵本のなかで、いまの日本から失われたいろいろなやさしさや、美しさを描こうと思っています。それをこどもたちに送るのが私の生きがいです。」


たくさんの方が子供たちにメッセージを込めて、作品を生み出しています。
みんなこの世の中が素敵であることを、幸せであることを願って。