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先日、大切な恩人が天に召されました。私が学生を卒業して、舞台に立ちはじめた駆け出しの頃、舞台のご縁で新潟県の魚沼の方に神湯温泉というところで、コンサートをさせていただいた時、お客様で是非うちの街にも、と声をかけていただいた方です。

この方は魚沼水産という小千谷のお魚屋さんの田村社長さんです。
小千谷は小さな古都のような可愛らしい街で、紬や縮、鯉や古い割烹など伝統文化の残る素敵な街です。
田村さんは、小千谷を心から愛していて、お魚屋さんはもちろん、地元で働く農家さんや職人さんなど一生懸命な人々に聞かせたいと、熱意を持って話してくださいました。

それからのご縁で毎年のようにコンサートを開いてくださり、福祉施設を回ったり、廃校になった体育館や、古い歴史のある割烹、蔵や古民家、お蕎麦屋さん、温泉施設などいろんなところで街が元気になるようにと、コンサートを開いてくださいました。

また小千谷の伝統を絶やさないように、広まるようにと、行くたびに小千谷紬や縮でコンサートの衣装を仕立ててくださり、着物文化などなにもわからない私に興味を持たせてくださいました。小千谷紬は本当に繊細で素朴で可愛らしくて素晴らしいんです。また紬を着て歌うと心も癒され、地元の人に近づいた気持ちになって、不思議と皆さんとの壁がなくなり、素敵なコンサートにさせてもらえるんです。田村さんはどこまでも全体を見等していらして皆が心から喜ぶことをいつも考えている方でした。

中越地震の時にも、自分の家も会社も被害にあっているのに、市民のためにすぐに炊き出しをしたそうです。社員の方がどうしたらいいかわからずストーブで暖をとっていたら、なにやっている!と喝を入れられ、すぐに指示されたそうで、その時の社長の凄さをよく覚えているなあと社員の方が言われていました。温かいお魚のお汁やご飯のお供にどんなに皆さん癒されたことでしょう。
本当に頼もしい社長さんでした。

小千谷に行くと、お腹いっぱいにご馳走してくださいました。お魚はもちろん地元のお野菜、おにぎり、お味噌汁、優しさいっぱい胸もいっぱいで、都会ぐらしのさみしさが皆なくなるほど満たしてくださいました。「おにぎり!おにぎり食べてれば悪いこと出来んよ。」と口癖のように言っていました。親のいない子供達の施設におにぎりやお菓子などいつも届けていたそうで、魚屋さんにみんなを招待して開いたコンサートでは、皆の目がキラキラして、一緒に歌ったり、子供達と遊んだり話を聞いたりしてみんな大好きになりました。楽しかったなあ。
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田村さんの愛した山本山から小千谷の街を見に行きました。

街の人のためにと山本山に千本桜を植えると植樹をはじめ、今では市民の憩いの場となっています。
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田村社長の元で、いつもお世話して下さっていた山岸さんと。
社長の思いを実現することは本当に大変だったと思います。この方がいてこその社長さんでした。ありがとうございました。
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「魚こう」さんの美味しいお料理。
この場所も沢山の思い出が詰まっています。思い出すと涙がこぼれそうです。小千谷の大好きな方々の顔が沢山浮かんできました。
たくさんいただいたのに、恩返しできずに逝ってしまわれました。という私に、これからたくさんの人に喜びを届けてゆくことが、恩返しになりますよと、佐藤料理長さんが言ってくださいました。ありがとうございます。田村さんに出会えたことが奇跡のようです。

思い出は尽きることがありません。ここ何年かは、田村さんの体の具合が悪くお会いできなかったのですが、あの頼もしい田村さんがまさかこんなに早く遠くへ行ってしまうなんて思ってもいませんでした。本当に今でも信じられなず残念でなりません。もう一度あの威勢のいい声でお話が聞きたかった。涙を流しながら私の歌を聞いてくださっていた心の優しい田村さん。心から感謝します。
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お線香をあげさせていただいき、帰りに鰻のお弁当まで持たせていただきました。美味しくて美味しくて。涙がこぼれます。本当にいつもいつもあたたかい小千谷。私の心のふるさとです。魚沼水産も優しくて立派な息子さんが後をつがれ、これからもますます小千谷を盛り上げてゆかれることでしょう。
また寄らせて下さい。

田村さま本当にありがとうございました。

チェレステ楽団
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